タンザニアの世界体験

コラム089 モシ ノー・モア・キリマンジャロ!! 〜 装備・山小屋編 〜
コラム090 モシ ノー・モア・キリマンジャロ!! 〜 登山編 〜
コラム091 アルーシャ 笑うハイエナ、喧嘩好きなシマウマ サファリ三昧 〜全体編〜
コラム092 アルーシャ 笑うハイエナ、喧嘩好きなシマウマ サファリ三昧 〜激写編〜

コラム090 モシ ノー・モア・キリマンジャロ!! 〜 登山編 〜
2010年07月21日

●キリマンジャロ国立公園ゲート → ホロンボハットまで <1〜2日目>

Maranguルート登山口で、登山届けを出す。名前、国籍、予定日数、ガイドなど書かれたノートを見ると、 ちらほら日本人もいるが、60代前後の中高年の方々ばかり。長旅バックパッカーの挑戦は少ないようだ。 それからポーターは背負う荷物の重量チェックを受けている、最大20KGだ。なんて重さだ。 標高3000mまでは鬱蒼としたジャングルの中を歩くので、猿・鳥・マングースなどの動物、色とりどりの植物を 見ながらのネイチャートレッキングである。雲の中を歩くことが多く、霧もしくは小雨の中をいく。 標高3000mを超えると雲の上に出るので、青空に太陽の日差しが強く照りつける。 空気も乾燥し、すがすがしいが、同時に酸素が薄くなっているのを感じる。まだ体力・気力ともに余裕がある。

登山前に登山届け提出
森の中を歩くのはとても気持ち良い
ランチを狙っているマングース

雲海の中は、霧で視界が悪い
雲の上に出たぞぉ〜〜!!
ハイシーズンなので登山者は多い

●ホロンボハット → ギボハットまで <3〜4日目>

富士山頂よりも標高が高い場所に来た。 標高4000m近くなると、キリマンジャロ山頂が遠くに見えてくる、砂漠のような殺伐とした風景の遥かかなたに 雪を抱いた緩やかなウフルピークが見える、あれが目指す場所。 3日目は高度順応。4100mのゼブラ・ロックまで3時間ほど歩いて、その後は昼寝して体力回復。 高度順応するか否かで、登頂成功率がかなり変わってくるらしい。 そして4日目、未知の標高4703mを目指す、傾斜は緩やかだが徐々に息が切れやすくなってくる。 標高4000mを超えると雪解け水を手に入れられなくなるので、ポーターは水を背負って登る。 ギボハットの手前は少し急になり、ポーターにとって最大の難所。 登山者にとっても高山病が襲いかかってくるので、辛い道のりとなる。 幸運にも高山病もなく、一歩一歩確実に登っていくことに充実感を感じた。

ギボハットまで10kmほど
雲の上は、日差しが強い
キリマンジャロ山頂が見える

見えてても、遠い・・・
残雪が見える、遠いなぁ
蛇行しているのが登山道

背中にも頭にも本当に20Kg以内?
脅威のバランス、すごいぞチャガ族
ポーター泣かせの難所

どこまでも続く、めげそうな距離
自然は雄大だ、自分はちっぽけだ
Kibo Hut 4703m到着!韓国人発見

●ギボハット → キリマンジャロ頂上 ウフルピークまで <5日目>

 早々に夕食を済ませ19:00に寝袋に入る。山小屋内でも0℃あるかどうかの極寒の世界。 持っていた全ての装備を着こんでマイナス10℃以下の世界にチャレンジする。山小屋では、登頂前から高山病のため、 下山を余儀なくされた人や、登頂あきらめ気味のくやし涙や、苦しい涙などが聞こえてくる。 俺頑張れ!!前だけを向いて行ける場所まで行くだけだ。でも、緊張の為か3回も腹が下る!!
 00:00 登頂へのアタック開始。月明かりを頼りに歩き始める。 なんて・・・辛いんだ。火山灰の砂利道に完全に足を捕られて、3歩行き少し戻される。息が苦しい。 ゆっくり歩いても息が切れて体が止まる。呼吸を整えて歩き始める、でもまた止まる、この繰り返し。 頂上( ウフル・ピーク )までコースタイムは 5 + 1.5時間、こんなこと6時間以上もやるのか?!遠すぎる、考えるの止めた、ただゆっくりと歩く。 ガイドが歩幅を合わせてサポートしてくれる、彼に励まされ、彼を信じて、ただ足を前に出す。 なんとか4時間半で5685mギルマンズ・ポイントに到着。ふっと力が抜ける・・・が、ここで終わりではない。
 ここから頂上5895mウフル・ピークまではコースタイム90分。 息は苦しいが、頭痛もしないし、足も痛くない、寒さも感じない、まだ行けそうだ。 インナーダウンを追加で着て、最後のアタックを始めた。だが・・・ここから先は本当に辛かった。 ただ尾根伝いに歩くだけなのに・・・。3歩登るだけで、死にそうに息切れする。そして風もかなり強く。寒さが身にしみる。 一瞬、意識が飛びそうになる。 「なんでこんな苦しいのに、まだ歩き続けないといけないんだ?もう十分頑張った、止めてもいいんだ!」と 悪魔の囁きが聞こえてくる、気持ちで負けては駄目だ。「登頂したい」という気持ちだけが、ただ足を前へ押し出す。
 6:20頃、遂に頂上に到達。5895mに自分の足で到達したんだ、体中から感動が溢れてきて、それが涙となる。 「やった!!俺、登ったんだキリマンジャロ山に!!超すげぇ〜信じられない」涙が溢れる。 登った者にだけ見ることが許されるウフルピークの景色は、静寂だけど、地球の力に溢れた神秘的な世界だった。 氷河と雲海の境目が分からない頂上にたたずみ、太陽が東の空を赤く染め、光線が突き刺さる。 俺の新しい1日が始まる、人生変える1日だ。

まずはギルマンズ・ポイントへ
朝焼けの中に、頂上が見えてきた
登頂したぜ! ウフルピーク!! 

意外に登頂した人多いのね・・・
抱き合って泣いてる人もいた
杯はないけど、祝杯のポーズ

涙でにじむ日の出
美しい氷河!ここは標高5500m以上
手前が氷河で、奥が雲海

登った者のみが見れるこの景色
人生ベスト3のサンライズ
別れを惜しみつつ下山、まだ極寒

●ウフルピーク → キリマンジャロ国立公園ゲートまで <5〜6日目>

30分ほど頂上で過ごし、下山開始。 頂上を目指し苦しそうな多くの登山者がとすれ違う。かなり辛そうだ。 太陽が出てきたので、少しずつ気温が上がってくる。火山灰の砂利道をザッザッーと砂走りして降りる。 2本の登山杖を使い、スキーのように駆け下りる。登りに比べればかなり楽だし早い。 それでも夜中から頂上を目指した後の下山は、かなり体に堪える。 富士山5合目から登頂して、1合目まで下山するみたいなイメージだ。 体がボロボロになりながらも、何とかギボハットに到着。そこで少し昼寝し、昼食後はさらに下山する。 そして14時頃、ホロンボハットに到着。その後は疲労の為、ベッドに倒れこみ、死んだように寝る。 休息後、夕食を食べながら、登頂の実感が沸き起こる。 I did it !!
そして最終日の6日目、5時間ほど下り、6日間のキリマンジャロ登山は無事終了した。

登頂後の下山はへとへと
砂を巻き上げての砂走り
雲海では小雨に降られる

エベレストを登頂した日本人男性と
6日間の挑戦が終わった、皆ありがとう
これが登頂証明書

●後日談

宿に戻り、留守番中の妻に、キリマンジャロ登山の興奮を伝える。 すると妻が「やっぱり私も行きたいから、もう一回チャレンジしようよ!」と言ってくる。 なんてこと言うんだ、俺は・・・ノー・モアー・キリマンジャロなんだ!!もうあんな辛い思いはしたくない・・・

●高山植物ライブラリー

登山中に見かけた、植物を少し紹介。

Gladiolus
そこらじゅうにある、金の花
ミントの花

ガイドさんには教えてもらった・・・
けど・・・名前忘れました・・
アレキサム系

綺麗ですね〜
アレキサム・サイモン・サム
かなり多くの花が見れます


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